目次
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1. キャンペーン実施目的の整理 / キャンペーン種別の決定
例えば「10-30代の若年層にとにかく新商品の存在を知ってもらうために認知を広げたい」が第一目的であれば、購買を伴わないオープンキャンペーン、中でもSNSとしての拡散力の高いTwitterを利用したプロモーションになります。一方、「30代女性をターゲットに商品のアレンジ方法を知ってもらうために認知を取りたい」という目的であれば、ビジュアルでアレンジレシピなどを訴求できるInstagramを利用したキャンペーン設計になります。
次のステップでキャンペーンのツール・手法も選んでいくことになります。様々なツール・手法の選択肢があるため、狙っている効果を出すのにどれが最適か?判断する基準として目的の整理は非常に重要です。
POINT
「何のためにキャンペーンを実施するのか?」できるだけ具体化
事例① 大王製紙 #こどもはなんでもさわる 動画募集
2歳以上の子どもの「なんでそんなものまで触っちゃうの?」というシーンを動画投稿するInstagram動画投稿キャンペーン。対象が限られる上に、指定シーンの動画を撮影して投稿するハードルの高いキャンペーンですが、ここでの目的は「ノンアルコールのウエットティッシュなら、子どもがいる家庭でも安心して使える」というメッセージを伝えることです。また、そのシーン自体をWEBCMで二次利用することでCMを見た人に商品の具体的な利用シーンとベネフィットを訴求する目的もあります。Instagramキャンペーンの場合は、応募数を集めることよりも画像や動画の二次利用を意識した建付けのキャンペーンも多くあります。
事例② 十勝のむヨーグルト 腸内フローラで “ちょうだい!フローラ” キャンペーン
商品購買を伴うクローズドキャンペーン。レシート撮影でその場で当落のわかるレシートインスタントウィン方式のコースをメインに、Wチャンス賞としてハズレレシート累計500円(税抜)以上で自動エントリーのコースも設置。初回トライアルに繋げやすい「その場で当たる&大量当選」のキャンペーンとその後の継続購入も狙っているキャンペーンです。毎週当たるという形を取ることで、週1回リピートしてもらう(その習慣作りのきっかけにする)という意図も感じられます。
事例③ ジャンボでGET!冬の陣キャンペーン
同じキャンペーンを少しずつアレンジし複数の流通で同時実施する同一フォーマットの流通タイアップキャンペーンです。景品もリピート来店の契機となり得る流通商品券としています。冬限定商品であることをアピールする目的も考えられますが、メイン目的は流通対策です。
2. 目的に合わせたツール・応募方法選定
ツールや応募方法毎にメリットデメリットなどの特徴があるので、それを踏まえたうえで検討していきます。
〇 ハガキ・封書
デジタルに強くない方、特に高齢層をターゲットとしたキャンペーンで採用されることが多い。また応募シールやバーコードを利用したプロモーションなど購買証明の関係で採用されることも。
〇 WEB
若年層から高齢層まで幅広くカバーできるツール。既存フォームシステムを活用することで比較的コストを抑えてデジタル対応することも可能。キャンペーン毎にシステム開発を行うパターンもあり、できることの自由度が高いのも特徴。
〇 Twitter
20代男女をメイン層として、10~40代で利用されているSNS。リツイートに代表される爆発的な拡散性の高さが特徴。情報が流れるスピードが速く、時事ネタ・大喜利や選挙などの切り口に向いたツール。
〇 Instagram
20-30代女性をメイン層とした画像・動画メインのSNS。ビジュアル訴求をメインとした企画向き。拡散性は乏しいが若年層中心に情報検索ツールとして利用されているため、ハッシュタグ検索対策(InstagramSEO)でキャンペーンを行うことも。景品については、現金や金券類などは原則使用禁止。(アカウントに関連した商品の金券などは除く)
〇 LINE
20-50代男女をメインに幅広い層に利用されているメッセージツール。毎日利用する層も多く、アクティブ率が高く「捨てアカウント」が少ない。1to1コミュニケーションがメインになるため、レシートを送信するなどのクローズドキャンペーン利用も可能。拡散性はない。
〇 TikTok
AIレコメンド型のショート動画プラットフォーム。ビジネス利用が進み、30代男女がメイン層に。拡散性の高さから、顧客接点作りに向いている。キャンペーン利用はまだ始まったばかりで取れる手法は少ない。
応募方法も様々あります。一例を記載します。
〇 クイズまたはアンケート回答(ハガキ・WEB・LINEなど)
指定のクイズやアンケートに回答するタイプの応募方法。商品について理解の促進や、アンケートによる調査などに利用可能。サンプリングキャンペーンなどでもアンケートに回答させるパターンは多い。LINEの場合はBOT機能を使うことで謎解き企画などの設計も可能。
Twitterアカウントをフォローの上、指定ツイートをリツイートする応募方法。手軽に応募できる上に、情報の拡散もしやすく応募の伸びに期待できる。拡散性アップと話題化のために、その場で当落のわかるインスタントウィン方式のキャンペーンも人気があり。フォロワー増加施策としても多く採用される。
アカウントをフォローの上、指定ツイートに「いいね」する応募方法。拡散性は薄いものの、特にInstagramでは最も応募ハードルの低い応募方法でフォロワー増加施策として人気がある。
アカウントをフォローの上、指定ハッシュタグをつけてコメントや画像などを投稿する応募方法。Twitterの場合は商品利用シーンのコメントや、Instagramの場合は画像コンテストなどでも利用される。建付け次第ではクローズドキャンペーンとしても実施可能。
いくつかのスポットを回って条件を満たすことで景品申し込みができる応募方法。実際にスタンプを押してハガキで景品申し込みをするパターンもあるものの、最近ではWEB上でスタンプを貯めていくタイプにシフトしている。店舗やエリア回遊などの施策で利用されることが多い。
LINE公式アカウントに友だち追加する応募方法。その場で当落が分かるので、LINEの友だち増加施策として人気。
〇 レシート応募:ハガキ・WEB・Twitter(DM)・LINE
購買証明にレシートを貼付またはアップロードする応募方法。キャンペーン実施しやすく、クローズドキャンペーンで最も多く採用されている。レシート情報は他人には開示したくない情報のため、Twitterの場合はタイムライン投稿ではなくDMで実施する。近年は特にLINEとハガキ併用タイプが増加している。メーカーと特定の流通が組んで実施するタイアップキャンペーンや、1つのひな形を基にして複数流通向けにアレンジしてキャンペーン同時実施する同一フォーマットキャンペーン、複数商品を買わせるビンゴキャンペーンなど企画のアレンジ幅も広い。
購買証明にバーコードを貼付する応募方法。どの商品でも実施可能な一方で、購買日の特定ができないため事前に貯めていたバーコードを利用して応募されてしまうこともある。
応募用のマークや、シリアルコード入りのシールによる応募方法。応募マークや通常のシールであればハガキに貼り、シリアルコードの場合は応募用サイトで入力する。バーコード応募で問題であった「購買日の特定」をクリアすることができる一方、工場などで商品へのシール貼り付けやマーク印字などが可能かどうか確認必須。ポイントを貯めて応募するマイレージキャンペーンや、その場で当たるインスタントウィンキャンペーンと相性が良い。
上記は一例で、同じツールでも応募方法の組み合わせや抽選方法によって解決できる課題が変わってくる場合もあります。迷ったときには他のキャンペーン事例を参照したり、キャンペーンに詳しいプロへ相談したりすることも検討しましょう。
POINT
・ツールや応募方法毎の特徴を理解した上で検討
事例① LINEでカンタン応募 ディアナチュラスタイル 鉄×マルチビタミンプレゼントキャンペーン
応募経路はLINEのみ。ターゲット年代層が広くても対応できる&アンケート取得情報を基にした配信などもできるLINEを利用しています。キャンペーンをきっかけにLINEで繋がることができ、その後も情報提供を定期的に行っていくことで商品購買に繋げる企画です。
事例② おかめ納豆 九州限定キャンペーン
メイン購買層が高い商品のためハガキを選択しているキャンペーン。また、日々消費してほしい商品であるため4枚・7枚コースのバーコード応募形式で実施。応募ハードルが高い分、現金などの応募を集めやすい景品を採用してバランスを取っています。
事例③ ファミリーマート チーズチキンTwitterキャンペーン
新商品の告知のため、情報拡散力の高いTwitterの中でも更に情報拡散しやすいリツイートキャンペーンを実施。毎日当たるインスタントウィン方式のキャンペーンで爆発的な情報拡散を狙っています。大量当選で応募を集めることでTwitterのトレンドワード入りによる話題化も狙っている企画です。
3. キャンペーン期間・応募条件の決定
キャンペーン期間についてはツールの特性にもよります。店頭でのクローズドキャンペーンであれば、キャンペーンの告知が店頭につき、それを見たお客様が商品を購入して、応募して…と考えると最低でも1か月間、できれば2か月間は実施したいところです。一方でTwitterのキャンペーンであれば途中でだれてしまうことのないように2週間から1か月間になります。一般的に、オープンキャンペーンと比較してクローズドキャンペーンのほうがキャンペーン期間は伸びる傾向があります。クローズドキャンペーンは店頭展開のスピードや商品展開流通の事情なども考えながら設定しましょう。
POINT
・クローズドキャンペーンは店頭展開も考慮しながら期間設定
・応募条件の設定では、またキャンペーンの目的に立ち返って検討
4. キャンペーン目標の設定
ここで具体的な数値を設定しておくことでキャンペーン終了後の振り返りで企画の成否が判断できます。同時に、数値が測定できるようにキャンペーン企画の中で設計していくことも重要です。基本的には目標数値はキャンペーン目的として設定したことが達成できているか効果検証の材料になりますが、他にも効果検証したいことがあるのであればこの段階で整理しておきます。
取りたい数値によって設計を変えなくてはならない部分もあるので、キャンペーンが始まってしまってから「これの数値も知りたかったのに、抜けていた!」ということにならないためにも必要です。
POINT
・過去事例などを参考にしながら数値設定を行う
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5. キャンペーン景品選定・タイトル決定
キャンペーン企画で失敗しがちなこととして、大枠がきまらないまま景品やタイトルを決めてしまうということがあります。「このキャンペーンで何を達成したかったのか分からないまま実施してしまった」となるとキャンペーンのために投資した準備時間やコストなどが無駄になってしまいます。きちんと段階を踏んで大詰めの段階になってから景品やタイトルを決めるようにしましょう。
この場合の考え方のパターンとしては下記のようなものが考えられます。
〇商品やサービスの特徴(ベネフィット)と似た特徴をもった景品
〇商品やサービスと一緒に使うことができる景品
〇周年記念など、伝えたい数字と関連性を持たせることができる景品
〇商品パッケージ・ロゴ・キャラクターを訴求できるオリジナル景品 …など
〇現金・金券類など誰でも使える使い道の広いもの
〇自社商品の詰め合わせ
〇食品系カタログギフトなどの消え物かつ選べる幅のあるもの
〇人気があるが少し高価で手の出しにくい家電
〇見た目が華やかで何であるかわかりやすい景品 …など
最低限押さえておきたい景品限度額に関する基本的な決まりは下記の通りです。
〇一般懸賞
商品・サービスの利用者に対し、くじ等の偶然性、特定行為の優劣等によって景品類を提供することを「懸賞」といい、共同懸賞以外のものを「一般懸賞」と呼びます。キャンペーンにおいて分かりやすく説明するなら、購買を伴う抽選のクローズドキャンペーンのことを指します。
・景品総額:懸賞に係る売上予定総額の2%
・景品最高額:懸賞による取引価額×20倍 ※上限10万円
商店街やショッピングモールなどで実施するような複数の事業者が参加して行う懸賞は、「共同懸賞」の分類になります。
・景品総額:懸賞に係る売上予定総額の3%
・景品最高額:取引価格にかかわらず30万円
商品・サービスの利用者や来店者に対してもれなく提供する景品のことです。商品・サービスの購入の申し込み順又は来店の先着順で何かをプレゼントする場合も「総付景品」になります。
・景品総額:規定なし
・景品最高額:取引価額の10分の2 ※取引価額が1,000円未満の場合は200円
新聞、テレビ、雑誌、WEB等で企画内容を広く告知し、商品・サービスの購入や来店を条件とせず、ハガキやWEBフォーム・SNS等で申し込むことができ、抽選で金品等が提供される企画はオープン懸賞(オープンキャンペーン)と呼びます。これは景品規制の適用対象外となるので上限などが決まっていません。
・景品総額:上限なし
・景品最高額:上限なし
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オープン懸賞では景品上限額が決まっていませんが、逆に言えば数あるオープンキャンペーンの中で話題性がある企画にするにはインパクトが重要になってきます。
よく質問される部分では当選人数がありますが、予算と景表法の上限が許すのであればできるだけ当選人数は多くしましょう。当選人数が多ければ消費者の「当たるかもしれない」という心理をくすぐることができます。例えば10万円の商品券1名に当たる企画よりも、1,000円の商品券が100名に当たる企画のほうが当たりやすそうに感じられます。あまりに景品額を落として魅力が失われてしまうのは良くありませんが、当選人数を多く出せるかどうかはキャンペーンの応募にも関わります。
もちろん、オープンキャンペーンで宇宙旅行のような夢のある景品を用意できるという場合は別ですが、基本的には当選人数は3桁以上出せるように調整しましょう。どうしても高額景品を採用したいが予算が限られる場合、少額の景品コースも用意し当選人数を確保することをお勧めします。また、景品の候補を選定したら現在企画しているキャンペーンでその景品が使用可能かの許諾確認も忘れず行いましょう。
POINT
・景表法の景品規制を理解した上で選定
・タイトルは一目でキャンペーンの魅力や訴求ポイントが伝わるシンプルなものを
事例① お~いお茶 茶畑から本物のおいしさ大冒険 ご招待キャンペーン
茶畑から商品にこだわりをもって製造していることを伝えるためのキャンペーン。メッセージ性を重視して茶畑やお茶にまつわる体験に景品を絞って実施しています。当選人数を増やす目的でQUOカード5,720名のプレゼントもあるものの、サイト上では大きく訴求は行っていません。
事例② プッチンプリン国民投票キャンペーン
定番商品の話題化のために実施。Twitterで盛り上がりやすい投票形式のリツイートキャンペーンの建付けにした上で、抽選でもらえるプレゼントも企画に合わせた純金製のツマミとツッコミどころのあるものにしています。Twitterのオープンキャンペーンでの受けやすさを念頭に置いた企画だと言えます。
6. キャンペーン告知方法の決定
店頭キャンペーンでいえば最も効果が高いと言われているのが商品パッケージで告知をするパターンで、パッケージ自体に直接告知を入れることも、告知シール・ネックリンガーなどを使うこともあります。それが難しい場合は応募ハガキ・応募リーフレット・告知popなどの店頭販促物を利用します。パッケージ告知ができない場合、ハガキ応募のないキャンペーンであっても必ずキャンペーンについて記載されたリーフレットなどを準備しましょう。
POINT
・店頭キャンペーンの場合は店頭販促物の設置しやすさも意識しながら設計
7. 企画全体の整理と見直し
・最初に決定したキャンペーンの実施目的と企画にずれはないか
・具体的なキャンペーン目標が設定され、その効果測定まで検討されているか
・決定した景品は景表法上問題のない金額になっているか
・具体的な告知方法まで検討できているか
よくある失敗が、企画を詰めていく中で段々と当初の目的と企画内容がずれていることです。トライアル購入促進を目的とした企画のはずなのに景品額のことを考えているうちにいつの間にか複数個購入の応募条件になっていた、高齢者層をターゲットにした商品なのにTwitterで若者向け商品をプレゼントする企画になっていた…など、おかしな点がないかしっかりと確認を行いましょう。
要点に絞ってまとめると、キャンペーン企画を進める順番は以下の通りです。
まとめ
今回ご紹介した手法以外にも日々新しいキャンペーン手法が生まれていますので、実際に企画を行う際にはキャンペーン過去事例もきちんと調べながら進めていきましょう。
また、今回の記事では詳細に触れていませんが、キャンペーンを実際実行する段になると進行スケジュールの設計・デザイン制作や応募規約、お客様からのお問い合わせ対応に対する準備などが必要になります。企画したキャンペーンがスムーズに実行できるように計画を立てて準備を行いましょう。
最後にキャンペーン終了後には、企画したキャンペーンのPDCAが重要です。キャンペーン毎にきちんと振り返りを行うことで、次回のキャンペーンでの改善ポイントが明確化し、より効果的な企画のためのヒントとなります。
まずは今回ご紹介したポイントを参考に、キャンペーン企画にチャレンジしてみてください。
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